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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)375号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人松岡良俊上告趣意第一点について。

しかし、第一審判決は、被告人の供述調書の外挙示の他の証拠をも総合して共謀その他判示事実を認定したものであって、右他の証拠は被告人の供述調書と相俟って判示事実を肯認するに足りるから、被告人の自白のみを唯一の証拠として有罪とした場合に当らない。それ故論旨は採ることができない。

同第二点について。

しかし所論は、所論にいわゆる従来の大審院判例なるものを毫も具体的に摘示していないから、原判決が如何なる大審院の判例と相反する判断をしているのかこれを判定するに由がなく、従って、刑訴規則二五三條に違反し採ることができない。

同第三点について。

しかし、所論は、刑訴四〇五條に定める事由に該当しないし、また、同四一一條を適用すべき場合とも認められないから、採用し難い。

弁護人中村登音夫上告趣意第一点について。

本件は、被告人の自白を唯一の証拠として有罪とした場合に当らないことは松岡弁護人の上告趣意一点について説明したところにより了解すべきである。

同第二点について。

しかし、所論は、刑訴四〇五條に定める事由に該当しないし、また、同四一一條を適用すべき場合とも認められないから、採用できない。

同第三点について。

しかし、憲法三七條一項は、当事者一方独自の見解で個々の裁判の量刑を不公平であるとして上告することを認めた規定でないことは当裁判所大法廷不動の判例とするところであるから、所論は採用できない。

同第四点について。

しかし、原判決は何等所論大審院判例と相反する判断を与えていないから、論旨は刑訴四〇五條三号に当らない。

よって刑訴四〇八條に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 穂積重遠)

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